大学院入試いわゆる「院試」について

 

院試とは?

 4年生大学を卒業して大学院に進学しようと思っても,そのまま単純に進学できるわけではないことをご存知だろうか? 意外に忘れがちだが,大学院に進学するためには「大学院入学試験」(通称「院試」)を受験し,合格しなければならない.大学に入学するために試験があるように,大学院に入学するためにも試験があるのである.博士を取得しようと思った場合,この大学院入試は避けては通れない問題の1つである.

理系の大学院入試

 しかし理系学生は安心してほしい.日本のほとんどの理系大学院の入試は,大学入試に比べてそれほど必死に勉強する必要がない.ごく一部の人気な研究科)を除いて,よっぽど講義をサボってない限り落ちることはないだろう.学部講義の成績優秀者は試験が免除されたり,試験は形式的な面接のみといった研究科も存在する.人気の無い研究科では定員割れを起こすこともあり,1年で2回も入学試験を実施しているところもある.大学院側としても学生を確保できないのは運営上問題なのである.

*研究科・・・大学の学部みたいなもの.大学入試では「〇〇大学〇〇学部」を受験するのに対して,大学院入試では「〇〇大学院〇〇研究科」を受験することになる.

 人気のある研究科は熾烈な争い

  理系の院試は難しく無いというものの,入学難易度の高い人気な研究科もごく一部存在する.世界的に有名な教授がいたり,外部の大学からの入学希望者が多かったりする研究科はどうしても倍率が高くなりがちである.どうせ研究をするなら,世界的に名の知れた研究科で研究したいと思うのはごく自然なことであろう.人気があるということはつまり,院試のレベルも高いということである.院試のレベルが上がると,みんな落ちたくないものだから余計に勉強することになり,さらに難易度が上がってしまう.

 このような話になると「人気の高い教授の研究室に入る難易度が上がるだけで,人気のない研究室だったら簡単に進学できるのでは?」と思うかもしれない.しかし,基本的に院試はテストの成績順で合格者が決まるために,自身が合格ラインに達していない場合は,どこの不人気研究室に第1希望を出していようが落ちることになる.

 学部卒業後に就職する人がいることを見越して,大学院の定員は,「学部生の人数 > 大学院定員」となっているのが普通である.そのため,景気が良くて新卒就職をする学生が多い年は,大学院に進学せずに就職する人が多くなるため,より入学しやすくなる.しかし逆に言えば,リーマンショックのようなことが起きると,学部で就職できる人が減るため,大学院が定員オーバーになり,必ず誰かが落ちることになる.景気が悪くなると就職だけでなく,大学院進学の難易度も上がってしまうのだ.

試験日程と就職活動

 院試で気をつけなければいけないもう一つの点は,試験日程である.院試というのは,大学入試のようにある決まった日に全国で一斉に行われるようなものでは無い.基本的には1年に1回,毎年決まった日程で開催される.ちなみに日程さえ被らなければ院試はいくつでも受けることができる.心配ならたくさん受けてもいいが,たくさん受ければ受けるほど試験の「傾向と対策」に時間がかかってしまう.複数の大学院で同じ分野の研究科を受験したとしても,そこに所属する教授陣が出題する試験問題には,その大学の独自性がでやすい.受けても本命1つ,滑り止め1つぐらいが妥当では無いだろうか.

 また,大学院進学か就職かで迷っている場合も日程にはよく注意しなければならない.志望している企業の面接日程と,院試の日程がかぶることもありえない話では無い.就職活動が忙しくなる5月〜7月に院試がある大学院もあるために,進学するかも知れない大学院の試験日程はよく注意しておく必要がる.