製薬企業の研究員

 

製薬企業の研究員

 このブログを書いている僕は,とある国内の製薬企業の研究員として働いている.製薬企業の研究員には様々なバックグラウンドを持った人たちが働いているが,僕は特に「化学」を専門とした研究員だ.具体的には,医薬品の有効成分を化学合成する仕事をしている.製薬企業で薬の研究というと,マウスに薬を投与するような動物実験や,がん細胞の培養などを想像する人が多いように思うが,意外にもそれ以外の研究をしている人の方がはるかに多い.僕のような「マウスの解剖ができない」だとか「マウスに触れたこともない」ような研究員も大勢いるのだ.

研究員の仕事

 製薬企業の研究員の仕事は,当然薬の研究である.研究といっても一言で説明できるような単純なものではなく,「薬がどのように薬理作用を示すか調べる研究」「薬の副作用について調べる研究」「薬の有効成分である化合物をデザインして合成する研究」「薬の安定性や品質を調べる研究」「薬を錠剤や注射剤に製剤化する研究」など様々な仕事がある.どの研究もかなり専門性の高い仕事であり,一人前の研究員になるにはそれなりの期間を要するため,研究部署間での異動はあまり多くない.

研究員の学歴

 製薬企業は,高学歴な研究員がとても多い.企業の規模によってもだいぶ違うと思うが,感覚的には「旧帝・東工大・慶応・早稲田」で全体の8割ぐらいは占められているのではなかろうか.残りの2割は,名の知れた薬科大学と言ったところである.研究職の採用試験は,大学で行なっている研究をプレゼンをするのが一般的だが,所属している大学で,研究レベルが決まると言っても過言ではない.偏差値が高い大学の方が優れた研究をしているように見えるため,どうしても高学歴な大学から採用されやすくなってしまうのだろう.

 また,製薬企業の研究員は博士学位取得者の割合も高い.おそらく,あらゆる製造業種の研究員の中でダントツだと思う.採用年度によってばらつきはあるものの,毎年3〜5割程度の新入社員が学位を持っている.僕が入社した年は,同期の8割が博士学位取得者であった.他の製薬企業もおそらく似たような感じだろう.入社後に,論文博士として博士を取得する人も多い(最近は論文博士の取得難易度が高くなっているが...).

 研究員の待遇

 製薬メーカーというと給与が高いイメージがあるかも知れないが,確かに他のメーカーに比べると比較的,給料は良いかも知れない.売上が景気に左右されにくく,利益率が高い業界であるのがその理由の1つであろう.以前の記事でも書いたが,研究職は営業職などと違い,比較的自分のペースで仕事をすることができるため休みを取りやすいというメリットもある.