研究職の仕事内容

 

研究職ってどんな仕事?

 世の中には色々な職種の仕事がある.事務職,営業職,開発職...その中でも少し風変わりなものが「研究職」である.ほとんどの企業にはそんな職種ないだろうし,あったとしても開発と一緒になって研究開発職になってたりするところも多い.実際のところ一部の大手メーカーぐらいにしか研究職という職種は存在しないだろう.今回はこの研究職という仕事のことを少し紹介したいと思う.

研究職の特徴

1.仕事内容

 研究職の仕事は文字通り「研究」である.研究対象はその企業の業種によって様々だが,その企業の製品に関連した研究をすることになる.化学メーカーだったら化成品,製薬メーカーだったら医薬品,食品メーカーだったら加工食品の研究をするといった具合だ.大学のようなアカデミアの世界とは違って「基礎研究」を行う企業はほとんどない.どちらかといえばこれら基礎研究の結果を利用して,社会に役立つ製品を作る「応用研究」を行うことになる.そのため,学術的に興味があっても利益を生み出さないような研究は忌避されがちであり,大学ほど研究テーマの自由度はない.人によっては一度企業の研究職として働いたけど,なんかやっぱり違うと思って大学に戻るという人もいたりする.

2.勤務実態

 研究職には営業職などと違い,社外の顧客というものがいない.そのため顧客の要望で納期や仕事量が左右されることは少ない.強いていうなら社内プロジェクトの計画期限があるが,それでも社内の締切なので,多少期日が延期されても大きな問題にはならないこともある(競合他社が迫っているとかではない限り).仕事の進め方はチームや個人に任されることが多く,自分のペースで仕事を進めやすい.そのため他の職種に比べても休みを取りやすく,フレックス制度が採用されている企業も多い.働きやすい環境が揃いやすい職種であると言える.一方,外勤はほとんどなく,毎日似たような仕事を繰り返しがちであるため,仕事のメリハリが出ないというデメリットもある.

 職場で他社の人間と会うことは少なく,あったとしても実験機器のメーカーや委託先の会社の人がほとんどである.つまり,立場上こちらが顧客になるためそれほど社外の人間に気をつかう機会がない.そのため,スウェットで通勤する社員,髭を剃らない男性社員,すっぴんで出勤する女性社員など見た目に気をつかわない人が多い.要するに比較的マイペースで自由な職種なのである.

3.採用人数と対象者

 研究職としての採用人数は,ほとんどの企業で多くない.研究にはとんでもない額のお金が必要になるのである.大抵の企業も少数精鋭で研究を行なっており,採用されている人たちの学歴は社内でもトップクラスである.専門知識を必要とする職種であるため,大学院卒生が多く採用される傾向にあり,業種によっては博士卒も多く採用されている.関連する基礎研究を大学で行なっている人が採用されやすく,企業と大学の共同研究による縁故やインターンで内定者が決まることもある.

4.社内の異動

 企業の業種や方針にもよるが,研究職から営業や事務に異動になることはあまりない.研究で培ったスキルが,他部署で生きることはほとんどないためである.そのため,ずっと同じ事業所で働くことが多く,職場内での人間関係はどちらかといえば閉鎖的な傾向がある.同僚と人間関係が悪くなっても,同一企業内に研究所がいくつもあるわけではないので異動先が限られ,距離を置くことができないこともある.

5.勤務先

 研究職が働く事業所は主に「研究所」になると思うが,研究所は,設備に広い敷地が必要になったり,また産業廃棄物を出したりすることが多いため,あまり都市部に建てられることがない.そのため,周りに何もないような田舎や沿岸部の工場に併設されることになる.利便性の良い都市部のオフィスで働きたい人にとっては不向きかな職種かもしれない.

6.待遇

 研究職の待遇は他の職種に比べて特別いいというわけではない.ただし,研究職を採用するような企業は,研究所を所有するような大企業であることが多いので,前述した働きやすさとも合わせて,給与面では恵まれていることが多い.

まとめ

 最後に研究職のメリット,デメリットをまとめてみた.ただし,研究職の人たちは元々好きなこと(研究)を仕事にしている人たちなので,デメリットを強く感じている人はあまりいないと思う.向いている人にとってはとても気楽で楽しい仕事なので,研究者になりたい人は,研究職につけるように頑張ってみるといいかもしれない.

研究職のメリット

・研究方針を個人やチームの裁量で決められるため,自分のペースで仕事ができる.

・社外の顧客の要望によって,納期や仕事量を左右されない.

・比較的休みを取りやすく,自由な働き方ができる.

・社外の人間と会うことが少なく,見た目を気にする必要がない.

研究職のデメリット

・外勤がほとんどなく,毎日同じような仕事をするためメリハリが出ない.

・人間関係で問題が起きても,簡単に他部署に移動することができない.

・採用人数が少なく,採用されるためにはある程度の学歴と専門知識が必要.

・研究所の立地は郊外に多く,都市部での生活に憧れる人にとっては退屈.

 

*・・・今回紹介した研究職は,理系の民間企業で働く研究職で当て,大学や国の研究機関で働く研究員や,文系の研究職の人たちのことではないので,ご留意ください.