博士学位とは?
博士のイメージ
「博士」とは一体なんだろうか? 世間の「博士」は,白衣を着た白髪のおじさんがフラスコを振っているようなイメージをお持ちの方が多いかもしれない.しかし実際の「博士」とはこのイメージとは全く異なる.博士というのは大学から授与される最高学位のことなのだ.
4年大学卒業後にもらえる学位「学士」
あまり知られていないかもしれないが,一般に日本の大学では,通常の「4年制大学」を卒業すると「学士」と呼ばれる学位が授与される.意識していないかもしれないが,もしあなたが4年生大学を卒業しているのなら,あなたは何らかの学問の「学士」という学位を持っていることになる.卒業した学部によって学位には異なる学部名がつけられる.例えば,工学部を卒業した場合は「工学学士」,理学部を卒業すれば「理学学士」,文学部なら「文学学士」というふうである.えー知らないなー,なんて言う人ももし近くに大学の卒業証書があれば,確認してみてほしい.「栄養学士」や「看護学士」や「美術学士」などなど,卒業証書と一緒に学位記があり,そこには「〇〇学士を授与する」と記されているはずである.
大学院に進学後2年でもらえる学位「修士」
4年制大学を卒業したほとんどの学生は,社会に出て企業で働くのだが,まだ大学に残って学びたいという人は「大学院前期課程」に進学する.大学院前期課程は2年間であり,この課程を修了することで得られる学位が「修士」である.文系学部では大学院まで進学する人は非常に少ない.それは大学院に入学する試験が高難易度であること,文系大学院の定員が少ないこと,そもそも大学院進学が就職に不利であることが原因であったりする.逆に理系学部では,それなりに名の知れた製造メーカーの開発・研究職になろうとすれば修士の学位が必須だ.そのため理系学部では大学院に進学する人が文系よりも多い.修士の学位も,修めた学問に応じて工学修士のように〇〇修士という学位になる.
終始取得後さらに3年間かかって取得する「博士」
そんなこんなで大学院前期課程を修了し,なおかつまだ大学院で学びたいと志す人が進学するのが「大学院後期課程」である.この後期課程を修了し,その成果を大学から認められた者が得る学位が「博士」なのである.後期課程ではさらに3年間大学院で研鑽を積むことになる.4年制大学から数えると実に9年間も大学で勉強しているので卒業する頃には27歳とかになっている.18歳で大学に入学して博士の学位を取る頃には30歳手前ということなのだが,人生で一番楽しい20代を大学院で過ごさないといけないのだ.しかも,博士学位は3年間勉強すれば必ずもらえるというものではない.博士学位取得するに足ると認められた人だけが,博士になれるのであって,まだふさわしくないと判断される場合は,もう1年大学院で勉強することになる.
まとめ
以上の説明をまとめると,下図のような感じになる.4年大学を卒業すると「学士」,大学院に進学後2年間で取得できるのが「修士」,さらに3年間またはそれ以上勉強することで取得できるのが「博士」である.