学振について その2 ー採用スケジュールと採用実績ー

 

採用へのスケジュール

 学振の採用スケジュールについて紹介したいと思う.まず,毎年2月上旬ごろに来年度から採用される特別研究員の募集要項が公表される.採用方法等が大きく変わることは滅多にないが,「申請年齢制限の廃止」など大きい制度変更がなされるときもある.4月上旬〜6月1日までが電子申請システムでの受付期間である.この期間中に学振へ送る電子申請書類を提出しなければならない.6月1日は学振に提出するまでの期限であるため,大学の代表機関が取りまとめて提出してくれる場合は,5月中旬〜下旬が締め切りになることもある.8月〜9月にかけて審査が行われ,10月中旬に採用結果が通達される.もしここで採用となった場合は,翌年度の4月から特別研究員としての給料が振り込まれる.不採用になってしまったらまた翌年の採用までさようなら,1年間は無給で博士生活を過ごさなければならない.補欠になった場合は,11月下旬〜12月上旬の面接試験を受けることになり,研究発表と質疑応答でその実力が試される.

 

採用実績

 最近の採用実績割合は,人昔に比べて減少傾向にある.5〜10年ぐらい前は採用率は25%ぐらいで,多い年には30%を超えるときもあった.しかし,ここ数年の採用実績は20%程度が続いている.学振に申請する博士進学者の数が増加傾向にあるのに対して,学振の予算定員数はほとんど変わっていないのが原因であろう.平成20年にはDC1申請者数が2400人,DC2の申請者が4500人だったのが,平成29年にはそれぞれ3300人と5300人にまで増加している.特別研究員採用枠は,ますます競争的な状況にあるといえよう.

もし採用されたとしても

 とは言っても,特別研究員の手取り月給20万円というのは決して高くない.働く時間に比べたらバイトしていた方が手取り収入自体は多くなることもあるだろう.手厚い社会保障を受けることができるわけでもないし,会社と違ってボーナスもない.おそらく修士卒で働いている社会人の方がいい給料をもらっているだろう.そんななか,採用されなかった大部分の博士学生の苦しさは推して測るべしである.